ギリシャは「勝ち組」のはずだった。 第一次世界大戦で、彼らはちゃんとつくべき側についていた。連合国に属したのである。おかげで戦後のお楽しみ、パンケーキ(領土)のカッテング(分割)にも与(あずか)れた。オスマントルコを喰い荒らし、アナトリア沿岸に地歩を占め、諸々併せてメガリ・イデアの実現に、大きく資するはずだった。 (Wikipediaより、講和会議でギリシャが主張した領土) ところが、である。 英雄の崛起が彼らの理想(ユメ)を、木っ端微塵に砕いてしまった。 ムスタファ・ケマル・アタテュルク。 救国の軍人にして改革の旗手。維新志士に擬するなら、高杉晋作と大久保利通を一身に兼ねたような者。九分九厘…