Михаил Михайлович Бахтин
Mikhail Bakhtin/1895−1975
──小説の中で作中人物(他者)が作者から独立して動き、両者が対話的関係に入る。これは他者が作者=自己の内に住むからである。自己の中には無数の他者の声が常に鳴り響いている。自己は他者を孕みつつ世界に対して外に立つ。他者との対話にあって自他の枠組ははずれて常軌を逸脱し、高尚と猥褻が混じり合ったカーニヴァル的世界の中に無化されてゆく。
ロシア、ソビエト連邦の人文学者、哲学者。私的なサークルで講義をし、のちにモルドヴァ教育大学教官。ドストエフスキーやラブレーの読みを通じて、自己が他者の言説に浸透され、他者と完結しない対話関係を保つことや、小説の哲学の極致としてのカーニヴァルの意義について論じた。主な著作に、『ドストエフスキーの詩学の諸問題』『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』など。
(『現代思想の冒険者たち10 バフチン──対話とカーニヴァル』より引用)
兄のニコラス・バフチンは古典学者でケンブリッジではウィトゲンシュタインと同僚であった。
http://www.page.sannet.ne.jp/kitanom/modgre/bakh1.html
ドストエフスキーの詩学 ちくま学芸文庫 ISBN:4480081909
小説の言葉 平凡社ライブラリー ISBN:4582761534
マルクス主義と言語哲学―言語学における社会学的方法の基本的問題 ISBN:4624010949
バフチン言語論入門 ISBN:4796702423
フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化 ISBN:4796700706