ヴラディーミル・ヴラディーミロヴィチ・マヤコフスキー(Vladimir Vladimirovich Mayakovskiy)。グルジア生まれ。 ロシア・アヴァンギャルドを代表する詩人の一人。1893年〜1930年。 革命的理想をうたい、風刺や内面の描写、愛と苦悩の世界を展開した。 ロシア未来派グループ「ギレア」を結成した。マニフェストは「社会の趣味への平手打ち」。 ヤーコブソン、シクロフスキーとも交流があり、ロシア・フォルマリズムの理論にも影響を与えた。 ピストル自殺。
<レビュー> 元々は、「艦隊のシェフ」が気に入り、細かな描写に感心し、原作は誰かと見ると、何と漫画家さんでした!それで、どんな作品を書いているのかと、購入しました。独特の、古典的な「漫画」的描写(手塚治虫の初期作品)で、良い雰囲気があり、大変楽しめました。こうした、多角的な視点はとても大事なことだと思います。 この漫画は西側への亡命を手助けする仕事人の物語で、基本的には反ソ連の立場で描かれています。しかしながら、読み込んでいくと、とてもリアルな細かい描写に驚きます。室内の机、椅子なども共産圏特有のものに揃えられています。その描写を見ていると、作者にソ連共産圏に生きる人々への強い愛情があると感じ…
やっぱり世界は文学でできている: 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2 作者:沼野充義 光文社 Amazon 東京大学教授の沼野充義(ロシア文学)と最前線で活躍する作家・学者たちが「新しい世界文学」について熱く語り合う! 世界文学とは、もはや読むべき価値のある古典作品のリスト(カノン)ではない。日本文学と英文学、仏文学、独文学あるいはロシア文学の壁も取り払った、まったく新しい文学のありようなのだ。巻末のあとがきでは、対談後に起こった東日本大震災を踏まえ、この時代の文学を考えるうえで何が重要なのかをふたたび考察する。世界文学を通じてわれわれはどう生きるべきか、どんな時代を生きつつあるのかについて、現…
立春。日曜日。 未明起床。 曇。 (朝から何だが、イスラエルによるこれほどのジェノサイドを放置する国際社会を見ると、あのナチスに対する学者たちの喋々たる「反省」「研究」は、何だったのかと思うな。お前ら、過去のことはわかる、わかったふりをするくせに、いまのことはマジわかんないんだ。まあ、こんなところでこんなことを書いたってどうしようもない、自分だって真剣に取り組んでいるわけでないとわかっているわたしも、大概偽善的だが。 ナチスの蛮行については、それをわかっていながら放置した当時のドイツ人一般に対してきびしい目が向けられることが多かったが、いまのイスラエル国内を見ると、そういう観点から眺めるという…
瀧本さんによれば、資本主義には「自分の少数意見が将来、多数意見になれば報酬を得られる」という仕組みがある。そのために未来の多数派が支持する「逆説的な真実」をいち早く発見すること。これが投資家=逆張り的な生き方には重要となる。そのためには普段の訓練が欠かせない。たとえば、何か意見を聞いたとき、その逆を考える習慣をつける、ニュースの裏を読む、業界の常識とは反対のことをリストアップする、誰もが見放した人を手助けする……などなどだ。そして、みずからが発見した「逆説的な真実」を、いち早く商品やサービスにすることで、市場の支持を集めていくわけである。 (綿野恵太『「逆張り」の研究』) 以下は一年前の日記、…
ランキング参加中読書※これは #I LOVE BOOK STORES! という本屋さんについてのコラムやレビューを募集した際に書いたもの。幸いにも「たらば書房」は現役で今も利用しています(元投稿にあった写真等は削除し、その分少し文章を修正しました。以下本文です)。 本屋さん、好きですか? シミルボンを読む方は皆さん本屋さんが好きでしょうね、きっと。 いいですよね、本屋さん。 お気に入りの本屋さんでどんな新刊が入ってるのかを見るのも楽しいし、知らない町でたまたま入った本屋さんに並んでいる本が自分の好みに合っていたりすると妙に嬉しくなったり。 本屋さんで偶然見かけた本で、普段は知ることのなかった世…
前回、富田武『日本人記者の観た赤いロシア』における同時代の「記録」をリストアップしてみた。そこには見えていないけれど、尾瀬敬止による『労農露西亜の文化』も入手している。同書もこのジャンルの一冊に加えることができよう。大正十年に神田区山本町の弘文館から刊行され、発行者は伊藤良治、B6判函入、上製二三二ページ、本体は赤の造本装幀である。出版社、発行者のいずれにしても、ここで初めて目にするし、弘文館も伊藤も出版史に見当たらない。その一方で、著者の尾瀬は『日本近代文学大事典』に立項されているので、それを引いてみる。 尾瀬敬止 おせけいし 明治二二・一一・一八~昭和二七・一・五(1889~1952)ソビ…
久しぶりの喫茶伯剌西爾である。新見南吉のポエカフェがあったけど、東京ではひっさしぶりのオンラインじゃない開催なのだ。 事前に朗読したい詩はどれ?と言われ各自、これがいいという。そして他の方とダブってしまった私は案の定、抽選に敗れ・・・・・・さらに希望を出してねと再度、分厚いテキストを睨む。うう、高田敏子じゃないんならもう短いので何でもええわと半ば、なげやりにみていたら、あるじゃないか、とっておきの短詩が、槐多が。 テキストは色別に進みます。まずは青。どう考えても一番多そうな青。 1)左川ちか「死の髯」 最後の一行だけでもわからないなりに強烈なパンチが飛んでくるイメージ。 死は私の殻を脱ぐ。 『…
明日のルメール#733 マイルはもはや牝馬の天下だなー。牡馬は中長距離に適性を見出すしかないんかね? なんか、ビュイックJが木村Tの馬に随分乗るのね。メインも準メインも乗鞍なしって、京都に行った方が良かったんじゃね?? 2700円 2R◎ 我がVolksliedは既に4戦してイマイチな戦績>出遅れと不利の文字が並ぶ(;´Д`) 矢野Tとは珍しい。祖母の名はマザーロシア、そして何と!その父はマヤコフスキー!!! ダート向きな気はするが、浪漫を込めて応援したいところだわ。相手は一応、ブリモル産駒の2頭だが、多士済済だなあ。 枠連 78 馬単 14→(1,16,17,18) 3R◎ 我がSaint …
表題はロシアの総人口数1億5千万からとられたもので、ロシア革命後に書かれた二番目の長篇詩。 アメリカ側をウィルソンとロシア側をイワンとして、20世紀のトロイ戦争として両大国の間の闘争を詠った長篇叙事詩。ロシア側の革命を賛美し、ロシア側の優位を謳いあげているにもかかわらず、献本したレーニンの評価は否定的で「図書館と変人どものため」の詩だと拒絶されている。「ナンセンスだ、ばかげたことだ、手に負えぬ馬鹿さ加減だ、衒いだ」と。架空幻想譚に近い『一五〇〇〇〇〇〇〇』を若い詩人のいい気な戯れだとでも思ったのだろう。 ほそい動脈の 一本一本に おれたちは浮かべよう、詩的虚構のおとぎの船を。世界は正しくおれた…
1914年19歳の時から詩作をはじめ、1925年30歳で自ら命を絶つまでの約10年間が詩人の活動期間。本書は初期詩篇として3篇が採られた以外は、1922年以降のアルコール中毒と奇行ともめ事のなかで創られた破滅に向かう自己憐憫と呪いと自己嘲笑に満ちた哀れな抒情詩。つねに更なる転落の一歩手前にいるために平穏さのかけらも見えてこない心象の表白に関心が向いてしまう。作品の質自体も死に向かう数年間のものがよかったらしく、訳者内村剛介による作品選択はおそらく妥当なものなのであろうが、作品自体が読まれることを望むがあまり、エセーニンの人物像や詩作の展開などの解説めいたものが簡単な年譜を除けば一切ないのには、…
今回の課題図書は、2度目に取り上げることになったオーストリアの作家、シュテファン・ツヴァイク(1881~1942年)の自伝、『昨日の世界』(1942年)であった(ちなみに前回は『人類の星の時間』)。 定例読書会の課題図書として私が初めて選書した作品で、選書しておいて647ページの大作に一瞬面くらったが、非常に興味深く、一気に読むことができた。 書名の『昨日の世界』とは、ウィーン人ツヴァイクの生きた世界(ハプスブルク帝国、オーストリア=ハンガリー帝国)がすべて「昨日のもの」、という隠喩にもなっている。 上巻は作家の少年時代と青年時代。下巻は作家としての彼の上昇と人生の幕引き。そして最後のページは…
決して大衆向けとは思えない長編叙事詩や戯曲を持って数多くソヴィエト各地を回り朗読をしていたという30代のマヤコフスキー。映画やラジオも出てきた時期とはいっても、詩人自身の朗読は魅力的であったのだろうが、聴くだけで本当に分かったのだろうかと思うような複雑さが作品にはあるように思う。聴衆の意識が高かったのだろうか、文芸に向ける期待と要求が厳しいものであったのだろうか、作品内容とともに需要層の態度にも時代の違いを感じさせる。人も、人が作り出す作品も、時と場所によって変化するものであることを改めて考えさせてくれた。 「小父さん、ここで何しているの、小父さんたちこんなに大勢で」「なんだって? 社会主義だ…
第一巻の詩論「いかに詩をつくるか」で取り上げられたエセ―ニン追悼詩篇「セルゲイ・エセーニンに」が収められている。詩論では冒頭の4行が取り上げられるのみで、それが詩篇全体、四行詩であるかのようであったが、実際は変則形式の273行の詩篇で、資質も思想も異なる間柄であったにもかかわらず、優れた詩人同士の連帯感からか、30歳という若さで酒に溺れ破滅して亡くなった抒情詩人を、緩やかに非難しつつも愛を込めた追悼によって詩人としての復権を図っているところが胸を打つ。エセーニンの詩を知らない人にも、エセーニンの詩を読んでみようかと思わせる。 ぼくらの惑星(ほし)は 快楽の 設備が不足だ。必要なのは よろこびを…
マヤコフスキー(1893-1930)は20世紀初頭のロシア未来派、ロシア・アヴァンギャルドを代表するソ連の詩人。ロシア・フォルマリズムの理論家ローマン・ヤコブソンなどとも交流があり、文学的な存在としては今日の日本においても依然大きいのではないかと考えられる。 21世紀に入ってからは、小笠原豊樹(詩人の岩田宏)の新訳で土曜社から全15巻+別巻1巻のマヤコフスキー叢書が刊行されていて、たいへん気になるところではあるが、まずはまとまった形で手に取ってみたいと思い、古い『マヤコフスキー選集』を選択した。全三巻のうちの第一巻には1912年から27年までの詩と、自伝(1928)と詩論(1926)が収録され…