変な音、変な響き、変な楽器などが使われた変な音楽でかつロックっぽい、ポップっぽい(割と聴きやすい)音楽に関して説明する場合この単語を出しておけば誤魔化せます。
1994年、《ワイヤー》誌に掲載されたサイモン・レイノルズ氏の論考で有名となった言葉。「ロック的な編成でロックではない(Non-rock)ものを求める」類の音楽、の表現があります。
Tortoiseを筆頭としたシカゴ音響派の台頭。トータスは合衆国のアンダーグラウンド・シ−ンに根を置きつつ、ラップトップを大胆に導入した斬新なサウンドで「次世代型のロック」を提示しました。この近辺には独自の人脈(ジム・オルーク、シー&ケイク、ダイレクションズ・イン・ミュージック、マイス・パレード、ヒム、ステレオ・ラブ、ウイ…)が広がっていて、現在でも「ポスト・ロック」と言ったときにトータス周辺を念頭に置いている愛好家も多いです。
カナダでコンステレーション・レーベルが発足(1996年)。Godspeed You Black Emperor!の登場が衝撃を与える。弦楽器を多用していますがポスト・パンク〜オルタナ以後の攻撃性を帯びている点で従来型のチェンバー・ロック(プログレ起源)とは異なった音になっています。ボレロ式に盛り上がっていく10〜15分の長尺の演奏が一つの型として定着。
97年にはMogwai(《Ten Rapid》)とSigur Ros(《Von》)がデビュー。後続のバンドに大きな影響を与えていきます。
Tristezaのデビュー(98年)を皮切りとし、インストゥルメンタル指向のバンドが多数登場。北欧(Diefenbach、Lemko Hall)、日本(Toe, 54-71)までを含んだ独自のシーンが成熟。後にマス・ロックと呼ばれる(Shellac,65daysofstatic,Battles) テクニカルな傾向もこの延長上に発生しています。
一方でリミックス作業などを通じてIDM/エレクトロニカ系との接点が作られていきます。デビュー以来地道にエレクトロニクスの導入を試みてきたHoodが独自の評価を獲得。日本ではEnvy, OOIOO,world’s end girlfriend, シンリシュープリームが世界的に評価されていったのもこの時期でした。
ギター・アンビエント寄りの作風、あるいはハードコア系と接点を持つバンドも登場。「ポスト・ロック」と形容される領域がさらに拡大・拡散していきます。