「ホモ・サケル」シリーズの一冊。大量消費社会を超え、生政治にも取り込まれることのない「到来する共同体」に向けてのケーススタディ的著作。イエスのように生きようとしたアッシジのフランチェスコとその後継者としてのフランシスコ会の修道士たちを中心に、世俗の法とは異なる領域で生きようとした人々の生の形式と世俗への主張について考察している。修道院においては人間の再生産(生殖)が基本的には行われないため、外部からの新たな参入者がなければその共同体は衰退し途絶えてしまうが、出家した人々の生が出家しない一般庶民にも影響を与えるということはなにも西欧世界に限ったことではなく、その歴史的な動向を西欧のキリスト教社会…