→「イングマール・ベルイマン」(Ingmar Bergman)。映画監督。1918年スウェーデン生まれ。監督作品に、「不良少女モニカ」(1953)、「第七の封印」(1956)、「野いちご」(1957)、「処女の泉」(1959)、「仮面/ペルソナ」(1966)、「ファニーとアレクサンドル」(1982)、他多数。
→「ベルイマン」を英語読みすると「バーグマン」。つまりイングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)は母国スウェーデンでは「イングリッド・ベルイマン」。
ベルイマン監督作品「野いちご」冒頭の夢のシーン、主人公の老人が見知らぬ無人の町を歩いている。老人は馬車から落ちてきた棺桶の中に自分の死体を見て驚愕する。老人は死の恐怖で目が覚める。 私も無人の町を歩いている夢を見ることがたまにある。もちろん自分の死体を見る事はないが、そこは記憶の断片でつくられた架空の町並みであり、怖いというよりどこか懐かしい。 以前はよく見ていた飛翔する夢や墜落する夢はほとんど見なくなった。取り壊されて今はもうないが、私の育った実家の夢をみることがある。でもそこには父も母もいない。私一人が留守番をしている。しかもいつも夜なのだ。 私は不吉だと言われる極彩色の夢を一度だけみたこ…
未見だったベルイマンの「魔術師」 見入ってしまった。オープニングから映像にどんどん引きこまれる。クライマックスのオカルトチックなホラーシーンは、CGの無い時代に驚くべき映像表現で度肝を抜かれた。 背筋も凍る恐怖映画、サスペンスのようで実は人間の本質を嘲笑い、それでいて希望もある喜劇にもなっている。 魔術師 マックス・フォン・シドー Amazon
「適度に退屈な60点映画」という名の100点満点の褒め言葉で歓待さるべきウディ・アレン最新作。 2020年。ウディ・アレン監督。ウォーレス・ショーン、ジーナ・ガーション、ルイ・ガレル、エレナ・アナヤ。 ニューヨークの大学の映画学を専門とする教授で、売れない作家のモート・リフキンは、有名なフランス人監督フィリップの広報を担当している妻のスーに同行して、サン・セバスチャン映画祭にやってくる。リフキンはいつも楽しそうな妻とフィリップの浮気を疑っているが、そんな彼が街を歩くと、フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」の世界が突然目の前に現れる。さらには、夢の中でオーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」…
●概要 ●海外勢953名 ●他俳優 ・「日本勢のリスト」へ ●概要 映画監督、脚本家、プロデューサー、俳優、その他スタッフといった映画人が影響を受けた・好きな映画。 「国別」、未個別化「一覧」、それ以外「その他作家」、「映画評論家のベスト」 ※2022年12月21日追記:文字数制限のため「日本勢」リンク集独立
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「汚名」(1946)です。 FBI捜査員デヴリン(ケーリー・グラント)は、ナチスの協力者で有罪判決を受けたフーバーマンの娘アリシア(イングリッド・バーグマン)に近づく、それはブラジルに隠れているナチ残党グループの動向を調査する為だった。アリシアは嫌がったが、渋々デブリンに協力し、ナチ残党グループのセバスチャン(クロード・レインズ)に近づくのだった… 若い頃鑑賞した時は良く出来ているなと言う程度でしたが、あのトリュフォー監督著「映画術ヒッチコック/トリュフォー」を読んでから見方が変わりました。何か惚れ惚れする様な映画…
今日はDVDでフォルカー・シュレンドルフ監督の仏独合作映画『スワンの恋』(1984年)を鑑賞した。マルセル・プルーストの大長篇小説『失われた時を求めて』の第一篇「スワン家のほうへ」の第二部「スワンの恋」の映画化作品だ。 主人公たちの疎外感を浮き彫りにした『スワンの恋』 私は原作小説を読んだばかりなので、映画と原作の違いがよく分かるのだが、映画は原作をなぞったというより、原作をかなり大胆に組み替え、それに『失われた時を求めて』の他の部分のエピソードをはめ込んで、独自の作品としてうまくまとめている。 また原作は主人公シャルル・スワンの心理を微に入り細に入り書き込んでおり、その説明の繊細さがこの小説…
一条真也です。『恐怖 ダリオ・アルジェント自伝』ダリオ・アルジェント著、野村雅夫+柴田幹太訳(フィルムアート社)を読みました。著者は1940年、イタリア・ローマ生まれ。世界中のクリエイターに影響を与える“ホラーの帝王”。映画プロデューサーの父親と写真家の母親を両親に持ち、新聞『パエーゼ・セーラ』で映画批評を担当したことから映画との関わりが始まりました。セルジョ・レオーネ監督作『ウエスタン』(1968年)でベルナルド・ベルトルッチとともに原案に携わり、以降数々の脚本を手がけました。『歓びの毒牙』(1970年)で映画監督デビューを飾り、『わたしは目撃者』(1971年)、『4匹の蠅』(1971年)の…
テキストとレポート やはりGoogle keepで日記のようなものをつけ始めたら、はてなの方はおろそかになってしまった。まあここのところは、テキストの読み込みやら、レポート課題の草稿作りとかに時間をとられていたので、どちらかといえばそっちの影響かもしれない。 科目は「西洋史」で課題は四問。最初の一問から四問までは西洋史というよりも「歴史学」や「歴史学」に関するもの。E.H.カーのこともテキストに言及してあったりなど、まずはテキストを読み込むのにえらく時間がかかってしまった。 おまけに四問目はいくつかのテーマから選んでそれについて論じるのだけど、選んだのが「イギリス産業革命とその社会的帰結」。そ…
突然ながら、映画の季節が到来した。 もちろん、私にとっての、である。 何を観て何を感じたかは追々綴るとして、改めて私が震撼した映画監督をあれこれ思い出してみた。そして、その中から自然に私の中のトップ10が明らかになった。 言っておくが私は熱心な映画ファンではないし、そんなにたくさんの作品を見ているわけでもない。それでも、衝撃を受けた映画作品はもちろん沢山あり、中でも「監督」として畏敬するのは以下に挙げる人々である。 世の中のランキングとは相当に違うと思うが、そんなことは気にならない。とにかく敬愛の思いをこめて名を挙げたい(順不同)。 フェデリコ・フェリーニ ヴィクトル・エリセ タビアーニ兄弟 …
今年31冊目読了。主に科学分野の翻訳を行う翻訳家の筆者が、科学用語の由来と誤訳を探る一冊。 なかなかマニアックな中身だが、案外読み応えがあって面白かった。確かに、翻訳語は魔窟だよなぁ。 翻訳語の難しさについての「訳語の選択は異文化コミュニケーションの根幹にかかわるもので、歴史的にも漢語から日本語への翻訳に際して、多くの先人を悩ませてきた。しかし西洋語から日本語の翻訳は、言語学的・文化的な背景がまるで異なるため、さらに大きな困難がともなう」「学者にとっての文献は基本的に漢文だった。杉田玄白の『解体新書』の翻訳はオランダ語を日本語に訳したのではなく、漢文に訳した。そこには、同じ漢字を使うことによる…
タイトルの通り、本当にそう思う。 10年ほど前、映画を好きになって見始めたことを思い出す。 自分はほとんどの人が見ないような量の映画を見ていて、映画に費やす時間も異常と言える程なので何がきっかけで、どうして映画が好きなのか疑問を持たれることはよくある。 自分も同じような人に出会うと何でこんな人間が…とつい思い、経緯を聞いてしまう。 10年経つと映画を好きになってすぐに見ていたような名作たちを見返すターンに入ってくる。 最近だと「博士の異常な愛情」「ピアノレッスン」なんかもすごく久しぶりに観た。 それらは映画館ではなく、女子高生だった自分が実家のテレビでDVDを借りたり録画をして観たものだった。…
ジャケットの直し大変。能力低くてしんどい。 ベルイマン『道化師の夜』観る。冒頭の無声映画みたいなところすごかった。アンが魅力的だな〜と下心満々で観ていた。
権威ある「Sight &Sound」史上最高の映画トップテンの7位に選ばれていながら、今まで日本では正式に一般公開がされてこなかった<美しき仕事>を「横浜フランス映画祭2024」での一度きりの上映会に行って観ることが出来た、、、この映画もそうだし、史上最高の映画1位に選ばれたシャンタルアケルマン監督の<ジャンヌディエルマンブリュッセル1080コメルス河岬通り23番地>でさえ、日本では半世紀を経てやっと一般公開されたのは一昨年のことだ、日本の文化度の低さに呆れる、日本は文化に対して幼稚なのだ、その順位が妥当かどうかは別にして、日本ではいつまで経ってもエンタメとアートを同レベルで比べようとする、ま…
マンハッタン ウディ・アレン監督の『マンハッタン』を観ました。 『アニー・ホール』『インテリア』と名作を立て続けに発表した後のニューヨーク・マンハッタン島を舞台にした4人の男女を描いた作品です。 ニューヨークで生まれ育ち映画の舞台にしてしまうなんてウディ・アレンの凄まじい地元愛を感じます。 生粋のニューヨーカーが撮っているためかエンパイア・ステート・ビルやセントラル・パークやタイムズ・スクエアのような分かりやすい観光地はほとんど出てきません。 地元民じゃないとこのような大胆な選択を取るのは難しいと思ってしまいました。 もし外部の人が撮るとしたらやっぱりタイムズ・スクエアに赴き「ここはニューヨー…
1928年、ほぼ100年前の作品。 この映画、「午前0時の映画祭」かな?オンライン配信で最後まで見損ねて、そのままになっていました。長年、いつか見ようと思ってて。これくらい古い作品だとYouTubeや廉価DVDで見られたりするけど、画質がひどかったり日本語字幕がなかったりするし。・・・U-NEXTでリストア版が見られるなんて、本当にありがたいです。 しかし間をおいて見てみても、なかなかキツイな。今撮影したばかりみたいに、くっきりと肌のきめまで見える大写しの映像。「絶望とは何か」や「人間はいかに残酷なことをしてきたか」を映像で記録しようとしたんだろうか。神や教会や正義の名のもとに、人が過去にどれ…
57歳のビジネスマン 広告代理店にいる頃は、「ターゲット」という言葉を平気で使っていました。 ターゲットはマーケティングでは「想定顧客層」のことをいいますが、要は「的」です。今でも広告の世界では、ターゲットという言い方をするんでしょうか? ペルソナという言葉も最近よく使われます。しかしペルソナを論じている人が、実はペルソナのことをあまりわかっていないようだと感じる局面も少なからずあります。ベルイマン監督の名作映画「ペルソナ」を観たことがある人(つまり私ですが)は、あんまり迂闊に「ペルソナ」という言葉は使いたくないタイプです。 そんな自分が、自分の顧客像についてイメージを固めたくなって作業しまし…
監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ バルバラ・スコヴァ、ユッタ・ランプ、ルドガー・フォークラー 今回は配信で見たやつだが、面白かったので記録。 ニュージャーマンシネマといえばヴェンダース、ファスビンダー、ヘルツォークしか知らないというレベルの人間なので、フォン・トロッタ監督など存在も知らなかった。ハンナ・アーレントを撮った人なのか。 過激左翼の姉と、穏健左翼で雑誌編集や街頭で中絶の権利を訴えるなどの活動をする妹を主役に据えたドラマ。爆弾テロ容疑で捕まった姉との接見シーンが作品の中盤で何度も反復され、その一つひとつが大変充実している。接見室とか、取り調べ室とか、狭い空間での緊張感ある対峙を描い…