フランス語。
とりわけ美学上 文学上の用語としてしばしばお目にかかる。
プレシオジテ(気取り)の形容詞。
元来は17世紀フランスのサロン文化で
服装や礼儀 趣味などにもプレシオジテが適応されうるが
特に言葉遣いに対して用いられる。
当時のサロンでは事物を通常の呼び方で名指さない
より気取った名称を与えることがもてはやされていた。
例えば 鏡を「魅力の相談相手」と言ったりなど。
このようなあまりの極端さにモリエールの笑いが
プレシオジテをおちょくることからも生まれてくることになる。
現在では多くは文体に対して形容される。
つまりプレシオジテもしくはプレシューは
ひとつのフランス文学の伝統とも言える。
例えば19世紀の詩人 マラルメはプレシューだと
しばしば定義されるが
この場合 単なる「気取り」だけではなく
より本質的なレベルで
マラルメが貨幣交換的な言葉―物の関係を
拒絶したところによるものだろう
つまり象徴主義とプレシオジテは表裏一体を
なしているとも言えるのである。
さらに 20世紀の文学者においても
ヴァレリーやアポリネール モーリヤックなどにこの形容がなされることもある。