ジャズ史上、最もしあわせな青春時代を送った男―― ジャッキー・マクリーンが過ごした十代を知ると、そう表現したくなる。 マクリーンはハーレム生まれ、父はタイニー・ブラッドショーやテディ・ヒルなどと共演したジャズ・ギタリストだった。7歳の時、父が死去。母は再婚し、義父は141丁目8番街でジャズ・レコード店を経営していた。シュガーヒルの南に位置する。ジャッキーは15歳の誕生日に母から贈られたサックスを演奏し始めた。 16歳頃の話、レコード店を手伝っていたある日のこと。ジャッキーがバド・パウエルの話を店内で誰かとしていると、少年が近づいて来て、「自分はパウエルの弟だ」と名乗った。その言葉を信じなかった…