バアルとは全西セム族共通の男性神の名前。王、所有者という意味のセム語。地方の主であり所有者として、バアルはその地方に豊穣をもたらす。祀られている地域の名称をつけて、ティルスのバアル、ペオル山のバアルなどと呼ばれる。太陽神として崇拝されたバアル・シャメムは「天の王」の意。悪魔ベルゼブブの名はバアル・ゼブブ「蝿の王」からきている。
「ウガリット神話」*1では大気と雨の主。もともとはハッドまたはハダドという名前であったとされるが、主神(バアル)と呼ばれていたため、その呼び名が定着したと考えられている。
自然崇拝が具体化した土着の宗教として、シリア地方などで古くから信仰されて大きな影響力をもち、ヤハウェ信仰とは対立したため、旧約聖書では異教の神として多くの言及がみられる。
悪魔学では、66個師団を率いて地獄の東方を支配し、序列1位の大いなる王とされる。ネコ、王冠を被った人間、カエルの頭をもった蜘蛛の姿で描かれる。
ベルゼブブも参照。
商業の神ではあるけれども、悪しき商業の神、経済至上主義、拝金主義の神である、とされている。
大川隆法著『宗教選択の時代』では通説とは逆に
ベリアル、ベルゼベフがバアルの言葉のもと。
としている。
*1:西セム人によって建国され、紀元前13世紀ごろに興隆した都市国家ウガリットにちなんで命名された神話群