11世紀初め、元主君サブールを追放し新たに王朝を打ち立てたアル=マンスールの一族は、そのおよそ100年後に存続の危機を迎えていた。 王国を拡大させた3代ウマルの死後、2代続けて10年に満たない統治の中で不審な死を遂げ、6代ワハブはわずか4歳での即位となった。 そしてその「摂政」を務めるのが、家令タイタル。 優秀だが黒い野心を持つこの男の手により、反乱はすべて意図的に起こさせられた上で鎮圧され、アフタス家の者さえも含む反乱首謀者たちの多くが処刑されることとなった。 今や、タイタルは王家アフタス家をも凌ぎ、このイベリアの真の支配者たらんとしていた。 だが、ワハブは決して、沈黙するだけの王ではなかっ…