恐ろしき生涯:ヴァロットン Vallotton 1927年(昭2)7月、9月、12月 雑誌「女性」に掲載。 作者のフェリックス・ヴァロットン (Félix Vallotton, 1865~1925) は後期印象派の影響を受けながら、ナビ派に参加し、画家、木版画家、美術評論家として活躍した。原題は La Vie meurtrière(凄惨な人生)で半自伝的な内容だが、草稿のまま死後発見されたという。美術評論家の税所篤二が翻訳した。 探偵小説風に始まるが、本質的には文芸作品で、自殺した若い男が書き残した手記という形式で、その男の生い立ちから感受性に富んだ半生が語られる。特にフランス的なのは、美しい…