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テーラワーダ仏教

(一般)
てーらわーだぶっきょう

テーラワーダ仏教(Theravada Buddhism)

テーラワーダとは、パーリ語(古代インドの言葉)で、“thera”長老の“vaada”教え、を意味する。大乗仏教に対する伝統的仏教を指す。上座仏教、上座部仏教とも呼ばれる。

大乗仏教の側からはかつて小乗仏教と呼ばれたが、この言葉は大乗仏教の優越性を前提とした立場からテーラワーダ仏教を「劣った教え」とする蔑称である。現在は、特に宗派的な立場で発言がなされる場合以外は、テーラワーダ仏教、上座仏教、上座部仏教と表記する事が望ましい。

大乗仏教の経典はサンスクリット語を用いて編纂され、数多くの如来菩薩が登場する他、独自の思想的展開が著しい。テーラワーダ仏教は古代インドの俗語起源のパーリ語で記録された三蔵経(tipitaka)に依拠しているが、パーリ三蔵には後世の加上が比較的少なく、釈尊その人によって説かれた教えと悟りへの実践法がよく記録されていることが特徴である。

大乗仏教では在家主義が標榜されたが、テーラワーダ仏教では具足戒(出家者の戒律)を守る比丘サンガと彼らを支える在家信徒によって初期仏教教団の姿をよく保存して来た。比丘尼(尼僧)サンガは早い時期に滅亡したが近年復興がはかられている。

大乗仏教が北インドから東アジアにひろがったのに対し、テーラワーダ仏教は南インドから東南アジア中心にさかえたため、南伝仏教・南方仏教とも呼ばれる。現在では、スリランカ、タイ、ミャンマー(ビルマ)、ラオス、カンボジアの各国で多数宗教を占める。またベトナム南部に多くの信徒と抱え、インド、バングラデシュにも少数派のコミュニティが存在する。近年はマレーシア、シンガポール、インドネシアなどでも華僑を中心に信仰を集めている。テーラワーダ仏教圏は西欧諸国の植民地支配を受けていたため欧米にも数多くの寺院や団体がある。

仏教伝来以来、長く大乗相応の地とされてきた日本では、明治時代にスリランカ留学僧の釈興然(グナラタナ)によってテーラワーダ仏教の移植が計られた。現在はタイ、ミャンマー、スリランカ出身の僧侶を中心とした複数の寺院や団体を通じて布教活動がなされており、日本人の出家者も誕生している。

ヴィパッサナー瞑想(vipassana meditation)をはじめとしたテーラワーダ仏教の修行法への関心も、宗旨宗派や出家在家の枠を越えて高まりを見せている。

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