アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙往還機。スペースシャトル計画として地球の軌道に人や物資を運べる宇宙船として開発された。
英語の「シャトル(shuttle)」は、往復便を表し、発案当初は、半月に1回程度のペースで地球と宇宙を往復する想定がなされていた。人々の憧れである「気軽な宇宙旅行」の実現の可能性を高めた夢の宇宙船であった。
軌道船(オービタ)本体は翼の小さい飛行機のような形状をしており、帰還時には翼及び本体底面(リフティング・ボディ構造)により発生する揚力を利用して滑空し、滑走路に着陸する。
流石に単独での大気圏離脱は不可能で、巨大な外部燃料タンクとその横に取り付けられた固体ロケットブースターを利用する。
従来使い捨てにされてきたロケットを再利用可能とすることで、コストの低減を狙ったスペースシャトルであるが、当初は1フライトあたり30億円とされていた運用コストは、実際には予定外のメンテナンスコストが嵩み1フライトあたり500億円もかかる高価なシステムとなってしまった。またこの運用コストは、コロンビア事故後の運用コストは、620億円以上と言われていた。運用コストの高騰が2011年の運用停止につながった。
2011年7月21日、同月8日に打ち上げられたNASAの最後のスペースシャトル「アトランティス」が地球へ帰還し、1981年の初飛行以来30年におよぶ幕を下ろした。現存するアトランティスを含む3基のオービタは、博物館に展示される予定。