17世紀のオランダに生まれた哲学者バールーフ・デ・スピノザは、その時代の宗教的、哲学的思想に一石を投じる存在でした。スピノザは、自らの哲学を通じて、神とは何か、そして我々はどのようにして神と関わり合うことができるのか、という根源的な問いに答えを出そうとしました。その核心にあるのが、「スピノザの神」という独特な概念です。 スピノザの神:自然と同一の存在 スピノザの神は、伝統的な一神教における全能の創造者や介入者とは異なります。彼にとっての神は、宇宙そのもの、すなわち自然全体です。この見方はパンティズム(全神論)と呼ばれ、神と世界は分離していないという考え方に基づきます。神は宇宙の法則、自然の秩序…