アンソロジーというと、ついついホラーやSF、ミステリーを思い浮かべてしまいます。しかし、それが主流かといわれると何ともいえません。 恋愛小説は、僕が最も苦手とするジャンルなので、余りかかわってきませんでしたが、ひょっとするとそちらの方が読者は多いかも知れない。『むずかしい愛』(写真)(※)は、柴田元幸が編んだ恋愛アンソロジーです。 柴田は朝日新聞社から『夜の姉妹団』『いまどきの老人』というアンソロジーを刊行しており、これが第三弾になります。「編訳者あとがき」によると、以前に比べ恋愛自体は楽になったけれど、恋愛小説を書くのは難しくなったそうです。 要するに、現代作家は純愛をストレートに描くわけに…