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コピーコントロールCD

(音楽)
こぴーこんとろーるしーでぃー

通称:CCCD
「音楽著作権を保護する」という名目で、コンピュータでの音楽鑑賞を制限する機能を搭載しているCDのこと。
しかし、現在日本で流通しているCCCDはCD規格(CD-DA)に準拠していないため、CDとは呼ぶことができない*1。そのため一部の新聞社では「コピーコントロールディスク」、CD関連のWebサイトでは「コピーコントロール銀板」などと呼ばれることもある。
CCCDが発表された当初は「コピープロテクトCD」と呼ばれていたが、後に現在の「コピーコントロールCD」に改められた。その理由としては、「リッピングできるドライブが非常に多く『コピープロテクトCD』では名称として都合が悪い」「消費者の権利を制限するというイメージを払拭するため」などが挙げられるだろう。

コピー防止技術について

現行のものはMidbar Tech社(現在はマクロビジョン社に吸収)のCDS200方式を採用している。この技術は意図的にTOCを改ざんしたり、エラーを載せたりすることで、パソコンへのデータ取り込みを妨害するものである。しかし、ある特定のPC環境 (主にドライブに依存) によっては、取り込みができてしまう場合があり、コピー防止技術としては不完全なものと言える。
コピー防止技術については、はじめからコピー禁止機能が規格に入っているSuper Audio CDDVD-Audioなどの普及活動を行わなかったことに対する、レコード会社への批判も多い。ただ、既に広く普及しているCDを捨ててまで新メディアに移行することは、CD売上減少に苦しむレコード会社にとっては、あまりにリスクが高かったのだろう。

パソコンでの再生

WindowsにCCCDをマウントすると、自動的に再生ソフトがインストールされ*2、そのソフト専用の音源データを再生する。これらのデータの領域を確保するため、収録可能時間が通常のCD-DAの74分から64分58秒と大きく減少している(サンプリングレートは通常CDと同じく44.1kHz)。
再生ソフトはAppleのMacintoshには対応していないため、Macintoshにマウントするとフリーズの原因となるという報告もある。
市場に出回るCD-ROMドライブの約60%でリッピングが可能であるが、一部のCD-ROMドライブではマウントできずに排出される*3という現象もある。
なおSMEのレーベルゲートCDは、PCでの再生を考慮しており、CDSの採用はオーディオ音源部分のみとなっている。ただしオーディオ部分の問題点は残されたままであった。

デメリット

著作権及び著作隣接権保護を目的とした技術であるが、消費者・レコード会社双方にとってデメリットも多い。主なものとして以下のような項目が挙げられる。

パソコンや携帯音楽プレーヤーにおける正当な利用さえも制限されてしまう

これは詳しく言うと「音楽CDを購入した正規のユーザーさえも、複製防止技術によってパソコンや携帯音楽プレーヤーなどでの再生が制限されてしまう」ということである。

音質の劣化

CD-DAのデータにエラー信号を埋め込んでいるため、音質が劣化するという説が有力である。avexなど音質劣化を認めていないレコード会社も多いが、いくつかのレコード会社(ビクター、SMEなど)は、CCCD採用によって音質が劣化することを認めており、独自の音質向上技術を導入している。
初期のCCCD(特にavex)は素人が聞いても音質が悪いものが多かったが、SMEやビクターなどの音質向上技術を導入したものについては、一応の改善が見られており、また最近ではエラー混入をTOC改ざんにとどめCD音源部にはエラーを混入しない場合が多い。ただ関係者でもない限り原盤と比べることはできないため、実際に音質が劣化しているのかどうか確かめることは困難である。

エラー信号に起因する再生装置の動作不安定や故障

一部のCDプレーヤーで再生すると自動DJ状態になることがあったり、一部のCD-ROMドライブではマウントすらしないということもあるようだ。
また、CCCDは前述の通りCD規格に準拠していないため、再生機器メーカー各社はCCCDの再生を保証する義務を負わない。またCCCD採用レーベル各社も「全機種での動作チェックは不可能」との理由から動作を保証しておらず、再生不良や機器の故障も含め一切のリスクはユーザーが負うことになる。
だが、本来は再生の保証や故障時の保証はレコード会社が行うべきものであり、消費者に負担を強いるべきではない。このため、消費者の反感を買うことが多い。ビートルズの「Let It Be... Naked」が日本版ではCCCDとなり、レコード会社に多数の苦情が寄せられるなど、販売側が受ける代償も大きい。

レコード会社の見解と市場分析

レコード会社の見解は、コピーが蔓延したことによりCDの売り上げが落ち込み、その結果音楽産業が衰退している、というものである。
しかし、これに異を唱えるものは多い。不況による購買意欲の低下や、音楽の質が下がったこと、デフレのために様々な商品(DVDソフト、パソコン、ファーストフードなど)が従来より低価格で提供されている現在、一枚3000円の音楽CDはその価格に見合わないと消費者が感じていることなどが、売り上げ低下の大きな原因になっていると考えられている。
また、CDや本などに特別に認められている「再販制度」が問題であるという声も多い。

レコード会社のCCCDリリース状況

実際にこの技術を採用しているレコード会社からのCCCDのリリース数は約60%程度。
リリースしていないレコード会社はTOY’S FACTORY、アップフロントワークス、ヤマハミュージックコミュニケーションズ、ビーイング系各社、徳間ジャパンコミュニケーションズなど。公式にCCCDでのリリースを拒否しているアーティストには宇多田ヒカル、山下達郎、THE BOOMなどが挙げられる。
なお、CCCDを積極的に推進してきたレコード会社のうち、avexは2004年9月22日発売の新譜よりCCCDの採用を弾力化することを発表し、ソニー・ミュージックエンタテインメントも2004年11月17日以降に発売の新譜についてレーベルゲートCDの発売を終了し、2005年7月27日より通常のCD-DAとしての再発売が開始された。(レーベルゲートCDは9月いっぱいで廃盤となる予定)
一方、東芝EMIではCCCDに代わり、新たなコピー防止技術を施した「セキュアCD」*4を開発、2005年8月31日発売のCDの一部で採用されることが決まっている。

約60%ものCD-ROMドライブでリッピングができる理由

CDのプロテクトをより強くした場合、ほとんどのCD-ROMドライブでリッピングが不可能になるが、逆に通常の再生機器にも影響が出る。そのためこれ以上プロテクトを強くできないというのが現状である。
リッピングするにも「ある程度」の知識と環境(ソフトフェアなど)が必要なので、MDやテープなどに録音するような気軽な感じでリッピングできるわけではない。とりあえず「カジュアルコピー」は防げているように見えるが……。

レコード業界 vs JASRAC

レコード業界では一定の成果があったとして上記のような廃止の動きにある(実際ほんとうに効果があったかかは不明ではあるが)。
ところが、JASRACは2004年10月15日の新執行役員への移行時にこれを疑問とする発言をしている。

*1:当然ディスクに“COMPACT DISC”のロゴは入れることができず、ネットの一部では「珍D」という蔑称も生まれた

*2:「アプリケーションの追加と削除」でアンインストールすることは不可能、そのため専用のアンインストーラーを利用する必要性がある。

*3:現在確認されたCD-ROMドライブはナカミチのMJ-4.8s

*4:動作が異なるという理由で、CCCDロゴがつかないので購入の際は注意が必要。

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