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ゲイ雑誌

(読書)
げいざっし

男性同性愛者のために作られた雑誌のこと。男性ヌードから官能小説、生活情報的な記事まで、幅広く網羅されている。
薔薇族(ばらぞく)、SAMSON(サムソン)、Badi(バディ)、G-men(ジーメン)等が、2012年時点で発行されている代表的な日本のゲイ雑誌である。老舗のアドン(1974年5月号創刊)、さぶ(1974年11月創刊)、The Gay(1978年「The Ken」として創刊)は廃刊になった。

体型や年齢などで各誌のコンセプトは異なり、読者の棲み分けがなされている。内容は主に同性愛に関するゴシップや読者の体験談、小説、漫画、ゲイに出会いの場を提供する通信欄などからなる。通信欄は、最盛期には薔薇族だけで1000通近くが掲載されていた。昨今はオリジナルDVD等が付録として付くこともある。

1970年代頃〜90年代半ばまでは、薔薇族、アドン、さぶ、The Gay、サムソンの5誌が併存する時代が続いた。しかし競合誌の増加、インターネットなどの普及によって苦戦が続き、薔薇族は3度の休刊を経て復刊を果たしたものの、他の老舗を含むゲイ雑誌の一部は現在休刊している。
現在はタブレット端末でのWEB配信が注目されている。

特徴

薔薇族とバディが総合誌、G-menが野郎・ガチムチ専、SAMSONがデブ専誌である。かつて存在したアドンとTHE GAYは若専、さぶが野郎専だった。

薔薇族は1971年7月(9月号)に創刊された日本初の商業ゲイ雑誌だが、編集長・伊東文學氏は異性愛者であり、ゲイの世界とは下半身の繋がりしかない「既婚者のための雑誌」というスタンスだった。そして「ゲイには末っ子が多く、母親が甘やかして育てるから同性愛者になる」(伊藤文學のひとりごと)というネガティブな考えを捨てきれず、同性婚にも否定的で女性との結婚を勧めていた。時代の制約があったとはいえ、「可哀想な同性愛者」「同性愛者を理解して上げている」という上から目線に終始し、府中青年の家裁判などにも冷ややかだった。そのため伊藤氏のゲイの間での評価は、必ずしも高いものではない。

それに対して1990年代に創刊された「Badi」(1994年11月)や「G-men」(1995年3月)といった新興ゲイ雑誌は、同性愛を生き方の問題としてポジティブに捉え、新しいゲイのライフスタイルを提案した。従来の可哀想な同性愛者というスタンスの薔薇族、ゲイリブ偏重で理屈っぽいアドンに対し、それは斬新なスタイルといえ、多くのゲイの共感を呼ぶことになる。因みにBadi編集部にはマツコ・デラックスやブルボンヌが在籍した。

日本のゲイ雑誌一覧

・ADONIS(アドニス)(アドニス会、会員制同人誌、1952年9月〜1962年63号まで。初代編集長は上月竜之介、2代目が推理小説家中井英夫と同棲していた田中良夫)
・同好(1959年10月頃大阪で創刊、会員制同人誌、編集長・毛利晴一)
・薔薇(1964年7月創刊、会員制同人誌、編集者・高倉一)
・薔薇族 (第二書房、1971年7月に9月号として創刊)
 ・バラコミ(薔薇族の増刊号として1986年11月に出されたゲイコミック誌。山川純一氏の漫画が人気になった。2号で休刊)
・アドン (砦書房、1974年5月号創刊、90年代前半にゲイ理論誌にリニューアルしお色気を殆ど掲載しなくなった後、96年末休刊)
 ・MLMW・ムルム (砦書房、1977年創刊7月号〜1981年3月号まで全28号。3号まで季刊、4号から隔月刊、15号から月刊化)
・さぶ (サン出版、1974年11月創刊、2002年2月号で休刊)
・スーパーモンキー(アダムズ出版、1979年6月刊行)
・The Ken (雑民の会、1978年創刊、「The Gay」の前身、編集長・東郷健)
 ・The Gay (発行T.I.Y.出版又は楽久企画、発売「噂の真相」、1981年9月「The Ken」から改題、現在休刊、編集長・東郷健)
・SAMSON (海鳴館、1982年7月創刊)
 ・豊漫(海鳴館、季刊誌、1986年創刊)
 ・DEVE(SAMSONの増刊号)
・Badi (テラ出版、1994年11月、1995年1月号創刊)
 ・ファビュラス(テラ出版、1999年11月創刊、編集長は小倉東(マーガレット)でスポンサーにタワーレコード、ユナイテッドアローズなど一般企業が参加したが2000年6月休刊)
・G-men (古川書房、1995年3月創刊)
 ・Super SM-Z(古川書房、1999年創刊、野郎系SM専門誌)
・P-NUTS(光彩書房、ホモ男性向けゲイコミック誌、1996年創刊、同年に4号で廃刊)
・Queer Japan(勁草書房、1999年11月創刊、その後休刊。編集長はゲイライターの伏見憲明)
・yes (2006年創刊、現在休刊)

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