マルクス主義者ではないどころか、経済理論に関しては、一見相互に矛盾するかに見える、ポスト・ケインズ主義とオーストリア学派を足して二で割ったような立場を採る者なので、当然にその主張の全てに必ずしも同意できるわけではないのだが、1980年代半ばから現在に至る日本政治史の一側面を分析する道具として、「新しい帝国主義」論に部分的な説得力を認めることは可能かと問うてみたい。 特に、1990年代からの「改革」を連呼する政治が、一体どのような力学からそうなったのかを分析する際には、一定の有効性を持っていると言えるかもしれない。「反共の闘士」たる右翼を自認する僕でも、そう思うことが時々ある。例えば、政治学者渡…