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クロテッドクリーム

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くろってどくりーむ

英語:Clotted cream

クロテッドクリームはイギリスの南西部デボンとコーンウォール特産のクリームを指し、デボンで作られたクロテッドクリームをデボンシャークリーム(Devonshire Cream)、コーンウォールで作られたものをコーニッシュクリーム(Cornish Cream)と呼ぶ。クロテッドクリームは乳脂肪分を55〜63%くらい含んでいて、丁度バター83%と生クリーム45〜47%の中間に当る。良質のクロテッドクリームは、見た目は黄色っぽくバターに近いが、食すると口の中でスーッと溶けるがしつこくなく、濃厚でコクがある。糖分が高いため表面が凝固してるハチミツ色の表面の下は薄クリーム色のトロッとしたクリームが存在する。クリームの表面の黄色くてザラザラした感じの膜は生産工程の途中でできるクラスト(crust)というもので、本物のクロテッドクリームにはこのクラストがある。クロテッドクリーム(Clotted cream)のClottedは「Clout」に由来する。CloutはPatch、いわゆる継接ぎや斑という意味で、クロテッドクリームのクラストを現している。

そもそもクロテッドクリームは昔、レバノンからフランス北西部フィニステールに伝えられ、その後デボンで作られていたと言われている。今はフィニステールでは、もう見かけなくなったが、現在でもシリア、レバノン、インド、パキスタンでは、クロテッドクリームを作っている。

クロテッドクリームの色、固さ、味の違いはクリームの製造方法の他に、乳牛の種類、またはエサによって異なってくる。デボンとコーンウォールは土地が肥え、比較的温暖な気候のために、牧草がよく育つため、チャネル・アイランド牛(ジャージー牛・ガーンジー牛の総称)はクロテッドクリーム作りに適した乳脂肪分が高い濃厚なミルクが採れるという。
製法としては、以前は伝統的にすべて銅製の鍋で作られ、ジャージー・タイプのような高脂肪の未殺菌ミルクやクリームを熱することにより、厚く凝結した生地を作っていたが、生産者によって鍋のかかった火の状態やストーブによって適当に熱されたため、クリームは酸に富み、バクテリアの介在で特有の芳香をも産みだしていた。しかし近年、ステンレス鋼で、190°F(約82.5℃)に均一加熱し、時間をかけて水分を飛ばした後、それをゆっくり冷やすことで品質を保持することが可能になった。現在は技術の進歩により蒸気で熱した方法で、より一層コントロールすることが出来るようになった。出来たクリームは、数インチの深い浅いトレーの中で通常パックされ、黄色の殻のような表面を形成し、均一に厚く層を成す。

いわゆるの英語の「クリームティー(Cream Tea)」は紅茶とスコーンとこのクロテッドクリームのセットのことで、紅茶の種類や入れ方ではない。「デボンシャークリームティー」と「コーンウォールクリームティー」と名付いているものには、西カナダやアメリカ、オーストラリアと世界のいろいろな場所で楽しめるが、残念ながらクリームティーとは名ばかりで、スコーンにジャムとダブルクリーム(Double Cream :乳脂肪分の高いクリーム47.5%)をホイップしたものが出されている。

英国の大都市圏でさえ本物を手に入れるのは、容易ではないようだ。





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