苦い思い出ならいくらでも出せるのに、ほろ苦い思い出と言われると出てこない。 私がこれまでの人生で直面した苦境などきっと世間から見れば大したことがないのだろうと思って生きている。 それでも私にとっては苦しかったし命を削って乗り越えた出来事だった。震えを抑えながら挑み勝った時もあれば、平気なふりをして耐え忍び嵐が去るのを待った時もある。 後者を苦い思い出とするならば「ほろ苦い思い出」とは何だろうか。 明日はバレンタイン。恋愛話が適切なのであろうと推測して、おや、ほろ苦い恋愛話など私の人生になかったなと振り返る。 社会人になるまで一切恋愛に興味がなかったのである。この私の性質がほろ苦い恋愛を提供して…