新聞や本の文章を読んでいると、文字が一列に何文字、それが横あるいは縦に何行、という規格通りに並んでいるのが当たり前に思えてくるけれど、ほんらい言葉はそんな四角い形に配置されていなくてもいい。と、あらためて考えるとそうなのだけれど。 表現上、文字をばらけさせてみる。まっすぐ整頓していた言葉の配置を変え、あるいは言葉自身がゆるやかにその隊列を離れていく印象を表してみる。今回はそんな作品を取り上げてみたいと思います。 じつは文字と言葉と意味との間には少しずつ隙間があって、言葉や文字が意味とは違う次元のところで自由な息遣いをしているような、不思議な気持ちになる作品たちです。 まず一冊目、朝吹真理子さん…