今週の超多忙期に入る直前の先週、もうすぐしたらネットもできなくなるし本も読めなくなるとわかっていたら、却って読書欲が増して半藤一利の『ノモンハンの夏』(文春文庫, 2001)と船戸与一の『砂のクロニクル』(小学館文庫上下巻, 2014)を相次いで読んだ。前者は著者が没した一昨年に買い込みながら読まずにいた本で、後者は字の大きな小学館文庫版が図書館に置いてあったのを見て読んだ。今回取り上げるのは後者。私は同じ作者が晩年に書いた超大作『満州国演義』全9冊(2007-2015)を過去に読んだことがある。 www.shogakukan.co.jp この小説は『サンデー毎日』1989年6月10日号から1…