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オデッサ作戦

(アニメ)
おでっささくせん

Operation Odessa
一年戦争の転換点となった戦い。地球連邦軍による最初の大規模な反攻作戦*1。ジオン側の戦争遂行に不可欠なオデッサ方面の鉱山群の制圧を目標として実施された。
大規模な戦力の集中を行った連邦軍がジオン軍を圧倒し、作戦目標の達成に成功した。以後、戦争の主導権は完全に連邦側の物となる。

  • 日時:UC0079年11月7日〜9日
  • 参加陣営
    • 連邦軍:総兵力370万(レビル将軍指揮)
    • ジオン軍:総兵力98万

概略

ジオンと地球連邦の国力差はきわめて大きく、まともにやり合ったのではジオン側に勝ち目はない。戦争の早期解決の可能性が潰えた時点で、ジオン側に可能な選択肢は長期戦に備えることしかなかった。そのために必要不可欠な鉱物資源の獲得を目指してジオン側は地球降下作戦を実施したが、その最初の目標はロシア地域の鉱山地帯であった。かくて、ジオン側は地球上の約半分を占領下に置いたが、それが国力の限界であり、それ以上の占領地の拡大が実施できない状態に陥った。
一方、連邦側は戦時体制への移行を行い、艦隊再建と新たな主戦力であるモビルスーツの開発をすすめ、着々と戦力の回復ないし増強を果たしていた。

あとは、それをどこに投入するかである。といっても、モビルスーツの量産には未だ時間が必要である以上、宇宙での反撃/攻勢作戦は時期尚早である。そして作戦目標を地球上から選ぶのであれば、ジオン軍にとって死活的な重要性を持っているオデッサの鉱山群以上の価値を持つ物は存在しない。

それまでの敗戦続きで士気の低下した連邦軍にとって、次なる戦いは必勝を宿命づけられており、このため作戦準備と戦力集中は徹底して行われた。
最終的に連邦は正面戦力370万、後方支援部隊400万と言われる巨大戦力の集中に成功し、これをこの時点では連邦軍の抗戦意欲の象徴とも言うべきレビルが率いる形になった。
ジオン側もオデッサの重要性は認識していたが、指揮系統上の諸問題*2、受け身の側の不利*3、国力差から来る根本的な戦力不足などがあり、連邦に対抗するには不十分な戦力しか確保できなかった。

こうして、11月7日に連邦軍による攻撃が開始された。
一部にV作戦による新兵器の投入も行われたが、連邦軍の主力は在来型の戦車と航空機であった。とはいうものの、連邦はすでにオデッサ方面を戦略包囲下においており、ジオン側に拠点防衛以上の行動に出る余地を消滅させることに成功していた。本来モビルスーツを主戦力とするジオン軍にとって、このような状況は望むところではなかった。が、完全な包囲下で戦力が圧倒的に不足していたので、他の選択肢*4は採用しがたい物であった。
この状況で連邦は数倍する戦力でもって殴りかかったわけであり、結果は明らかだった。
2日間の戦いの末にジオン軍の戦線は崩壊し、マ・クベを初めとするジオン軍首脳部はオデッサを脱出、焦点は連邦軍による残敵掃討とこれから逃れようとするジオン軍部隊の撤退とに移った。
連邦は必勝を求められた戦いにおいて、それに応えることに成功したのである。

マ・クベ

この作戦における最大のキーパーソンは突撃機動軍のマ・クベ大佐である。
彼は東欧〜中央アジア一帯のジオン占領下の鉱山基地群を統括して貴重資源の採掘と搬出にあたっており、いわばオデッサ作戦を受けて立つ側の指揮官であった。オデッサの防衛のためには地球攻撃軍の欧州方面軍との協調が必要不可欠であるのは明白だが、マ・クベの側は非常に消極的だったとされる。
この点については当時から様々な議論がなされている。

  1. 鉱山放棄説:すでに十分な量の資源を採掘しており、鉱山の戦略的価値が低下していた
  2. 核使用説:いざとなれば(南極条約違反であるが)核兵器の使用ないし恫喝によって戦況を挽回できると思っていた
  3. 誤断説:連邦の戦力を過小評価しており、現有戦力での防衛が可能だと誤断していた
  4. 陰謀説:マ・クベはジオン全体よりもキシリア・ザビの個人的利益を優先していた

このうち、鉱山放棄説については、鉱山を放棄するのであれば先に戦線を縮小しておくなど、自軍の損害を軽減する方法がいくらでもあるので、受け入れがたい*5。ただし後述の陰謀説の論拠の一つとされることは多い。

核使用については、今日まで結論は出ていない。
「マ・クベが作戦末期においてレビルに進軍停止を求め、応じない場合は核兵器の使用を行うとの恫喝を行ったが、レビルはそれを無視して進軍を命じ、核使用は連邦の一部隊*6の活躍によって阻止された」
との説は話としては面白いが、いわゆる「レビル神話」の一部として、できすぎた話との印象も受ける。また、連邦が核で反撃してくる可能性までも考慮すれば、論拠としては不十分と言わざるを得ない。核恫喝は破れかぶれになった末のハッタリと解することもできなくはないが、いずれにせよ当事者のマ・クベが亡くなっていることから、この説の可否を断定するのは不可能といってもよい。

誤断説については、マ・クベは地球におけるジオン情報網を統括する立場にあったとも言われるし、かつ当時のジオンは連邦の動向を相当程度正確につかんでいた*7ことから、近年では否定的に見られることが多い。ただし、作戦直前に逮捕・解任されている連邦軍のエルラン中将が本当にジオン側の工作員だったのであれば*8、連邦軍を大混乱に陥れて作戦を早期に中止させることも可能だったとする見方があるのも事実である。

陰謀説については、不明な点も多く確定しているわけではない。要するに、マ・クベは採掘された鉱物資源の量を過小報告して差額分をキシリア個人の利益としていた、その発覚を恐れて友軍との協力を拒んだ、とするものである。
現実にキシリアは自らの配下以外の戦力が鉱山地帯に立ち入ることについては非常な不快感を示しており*9、正確な情報を上げていなかった可能性は高いとされる。地球侵攻軍とは本来無関係なキシリアが自分の腹心であるマ・クベを送り込んで鉱山経営にあたらせていたという不自然な事実も、自らの個人的な利益の拡大のためだったと解釈することが可能である*10

そのほかの各部隊の動向

  • ジオン突撃機動軍からは司令部付特務小隊『黒い三連星』が遊撃部隊として参戦。補給中のホワイトベース隊を襲撃したが、補給部隊のマチルダ・アジャン中尉の特攻もあってまずマッシュ中尉を失い、再戦でオルテガ中尉・ガイア大尉も討ち取られ壊滅した。
  • なお連邦軍からはこのほかにもRTX-440陸戦強襲型ガンタンク、RGM-79[G]陸戦型ジムなどが若干投入された模様。
  • ジオン軍のユーリ・ケラーネ少将指揮下の部隊(恐らく、マ・クベ大佐とは別の指揮系統だったと思われる)は核を*11使ったブラフで脱出後、旧知の仲であるギニアス・サハリン技術少将のいる東南アジア方面に落ち延びたが、ギニアス技術少将肝いりの決戦モビルアーマー「アプサラス」を巡って対立し、程なくしてユーリ少将(及び彼に近しい一派)はギニアス技術少将に謀殺、残った敗残兵も大半が戦死した模様。
  • 宇宙へ上がったジオン軍部隊の一部は哨戒中の連邦軍部隊に据え物斬りの危機に遭うが、付近宙域を航行中の第603技術試験隊が評価試験中だったモビルスーツ「ヅダ」部隊を差し向け、八面六臂の活躍でヅダ1機を失うも撃退に成功、欠陥のため正式採用は逃したが鮮烈な印象を残した。

*1:なお、The Originではジャブロー降下作戦の後に行われており、結果の詳細も異なる。ここではTV版・劇場版を前提に述べる

*2:ガルマの戦死による混乱であるとか、そもそもオデッサ方面のジオン軍がマ・クベ麾下の資源採掘部隊とユーリ・ケラーネ麾下の欧州方面軍の二系統に分かれていたとか

*3:結局どこを攻撃するかは攻撃側の自由である

*4:例えば前線配備兵力を減らして機動防御で支えるとした場合、戦力差が開きすぎて一撃で前線が崩壊する危険がある

*5:ジオン側が戦力の追加投入を行わなかったことの説明としてはあり得るかもしれないが

*6:一説には後の第13独立任務部隊となるホワイトベース隊

*7:300万を超える規模の兵力集中を隠蔽することはそもそも物理的に不可能であり、かつ、ジオン側の諜報網は連邦内部の相当な高位まで浸透を果たしていた

*8:そして決定的なタイミングで行動に移ったとすれば

*9:ランバ・ラル隊の全滅の遠因になったともされる

*10:マ・クベ個人の経営手腕が高かったから採掘を担当させたのだとしても、突撃機動軍が組織として関与する理由にはならない

*11:気化弾頭爆弾とする説もある

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