前回、名前を出した荒川修作が考えていることを私が理解している範囲で、ごく大ざっぱに書くとこういうことだ。 「生き物は空間との関わりによって、形と動きを作り出される。だから、虫は虫で空間との関わりに応じてそれぞれいろいろな形になったし、鳥や魚や獣もそれぞれいろいろな形になった。 人間もまたその延長に位置するはずなのだが、人間は空間との関わりを歴史を通じてどんどん希薄にしてしまって、それにつれて人間を形成しているはずの、肉体と精神の二つのうちの精神ばかり育ててしまった。 精神が優位になりすぎたために空間がどんどんフラットで抵抗のないものになってしまったのだが、いまここで肉体に負荷をかけるという性質…