1290?〜1349?。
イギリスの後期スコラ学、14世紀唯名論を代表する、論客。フランチェスコ会修道士。ドゥンス・スコトゥスに倣い、神学と哲学を区別し、信仰と理性を明弁した。後に、トマス・アクィナス、スコトゥスの論を批判、唯名論的立場を表明した*1ことに端を発し、有名な普遍論争が起こった。
そこで
「普遍的概念としての『人間』や『神』は、人間の精神の外に実在せず」
「実在が普遍ではなく、概念をなす記名が普遍を成している」
とし、20世紀言語学、分析哲学における「シニフィアン/シニフィエ」の原型といわれる。(シニフィアンのシニフィエに対する優位性)
またこれが、唯物論の最初の表現だとする人も。
オッカムは彼の生地の地名。
*1:しかしながら最近の諸研究を概観すると、彼は唯名論者であるというよりは寧ろ、概念論者であったことが大分判って来る。但しそれら諸成果が、通俗的な哲学史に於ける従来型の諸図式をも大幅に塗り替え書き換るには未だ至っては居ないのが現状であるようだ。