車・バイク等の盗難予防装置。
所有者以外の者が車体に対して不正な操作を行おうとすると、エンジン点火回路が自動的に遮断され、エンジン始動を阻止する。
昨今の自動車にはありとあらゆる場所にワンチップマイコンを内蔵したECU(Electronic Control Unit)というものがある。
それは、エンジンを始め、ブレーキ、パワステ、トランスミッション、インパネ、エアコン、エアバッグ、ドアロックや極端なものになると、ドアミラー等にもECUが埋まっていたりする。
それらは、CANやLINといった一種のLANで結ばれており協調制御されている。
これは、通常のキーを使用した場合である。
ステアリングコラムのキーシリンダー取り付け部分にコイルが埋まっている。
これは、後に述べるトランスポンダとの通信、をするアンテナ及び電源供給をするための電磁結合という役を担う。
これには当然ECU*1に繋がっている。
当然そのECUはエンジンECUやボディECUなどとLAN(便宜上ここではそう呼びます)で繋がっている。
そして、キーのノブというか、アタマというか手に持つ部分にはトランスポンダというICが埋め込まれている。
トランスポンダには、電源がない。
電源は、イモビECUと通信する際に、コイルより発生した電波にある程度のエネルギーを乗せ、トランスポンダIC内に埋め込まれたコイルと電磁結合を起こさせ発電。自らの電源としている。
1−2−1.先ず、ドライバーはキーをシリンダーに差込みSTARTの位置まで回す。なお、この時点でエンジンECUにスターターONのメッセージを流し、スターターは回る*3
1−2−2.この時、イモビECUはトランスポンダにIDの確認をする。
トランスポンダはIDを返す。
1−2−3.トランスポンダのIDとイモビECUのIDが一致したら次へ、一致しなければ、警告を発するよう、LANにメッセージを送る。但し、何らかの原因*4で正規のものでもID照合できない場合があるので、警報は、数度のリトライ(10回程度)の後本当にダメだったら、なされる。
1−2−4.次に、高度に暗号化されたキーワードをトランスポンダに送信。トランスポンダはこの暗号を解読。暗号解読の結果がOKなら、次へ。違っていればリトライをし、NGならばイモビECUは警報メッセージをLANに送る。
1−2−5.トランスポンダはこの暗号を元に更に暗号化したキーワードをイモビECUに送信する。イモビECUは暗号を解読、暗号解読の結果がOKなら、LAN経由でエンジンECUに暗号化したイモビECUのIDを送信する。NGならリトライを1−2−2.まで戻って行い、数度やってダメなら警報メッセージをLANに送る。
1−2−6.エンジンECUは暗号化したイモビECUのIDを解読。解読の結果OKならば、イグニッションコイルに流れるSWをONし、エンジンはスタートする。
つまり、トランスポンダとイモビECUは同じIDと同じキーワード(ともにとても長いビット数のものが複数)をお互い持っており、これを順次照合。OKならば、今度はイモビECUのIDとエンジンECUのIDを照合。OKならばようやくエンジンスタートとなる。(場合によってはボディECUが仲介に入る。)
なお、旧世代のイモビライザは、エンジンECUだけ非搭載グレードのものに取り替えてしまえばエンジンが掛かったが、新世代のものは、関係するECUを全て取り替える必要がある上、暗号そのものも複雑になっているので容易には破れないようになっている。
といっても破る方法はいずれ発明されるだろうからイモビが搭載されていると言っても決して油断しないように。
キー無しでエンジンが始動できるというスマートエントリーは最近の新車でも良く取り入れられるようになった。その性質上、自ずとイモビライザー機能内蔵となっている。
これの場合、受信側、送信側ともキーレスエントリーと全く変わらない。
スマートエントリーのカードにはキーレスエントリー機能も大抵は内蔵されているため電源も当然、内蔵されている。
基本的にはメカキー式と同様であるが、スマートカード式の場合車外エンジン始動後車外持ち出しというイリーガルな状況が発生する恐れがあるため、定期的に照合、監視をしている。但し、走行中にはもちろんエンジンカットはしないが、再始動はできない。
スマートエントリーシステムを今後標準採用するクルマが増加しているので、こちらの方が主流で、メカキー式はバックアップとして採用されるケースが今後増えてくるだろう。
こちらも、イモビがついてるからといって油断しないように。人間が作ったものである以上、いつかは破られるものだから。