国立新美術館『マティス 自由なフォルム』 またか、と思った人も多かっただろう。昨年夏の東京都美術館に引き続き、二度目の「マティス展」。しかし副題は異なる。都美では「The Path to Color」というように、作家のシンボルとも言える強烈な色彩に焦点が当てられていたのに対し、新美の展覧会では「自由なフォルム」という標題のもと、むしろ彼が素材を自在に加工して生み出した作品の形態が主題化されていた。結果、前者はマティスの代名詞とも言える「フォーヴィズム」の典型的イメージに適合するカンヴァス画を中心に据えていたのに対し、今回はむしろ切り絵や服飾、ステンドグラスや陶板画といった非伝統的なメディアを…