Hatena Blog Tags

アサルトライフル

(一般)
あさるとらいふる

定義

assault rifle 敢えて日本語にすれば、突撃銃、といったところ。
定義は様々で厳密に決まっている訳ではないが、一般的に以下の様な条件を揃えたライフルを指す。

  • 歩兵一人で携行出来る
  • 自動装弾式(オートマチックライフル)で、単発の他にバースト・フルオート射撃が出来る
  • カービンライフル
  • 口径は12.7mm未満

その歴史

第2次大戦中期までのライフルといえば、ボルトアクションと呼ばれる、一発撃ってはボルトを抜差し、空薬莢を排出して次弾を装填、という一連の動作が必要であった。もちろん、マシンガンやサブマシンガンなど連射が可能な兵器はあったが、マシンガンは基本的に2人で運用する必要があったし、サブマシンガンはピストル弾を使用するという性格上、遠距離での命中率、威力に問題があった。
そしてその結果が、一般的にはアサルトライフルの始祖とされている、ドイツのMP43*1である。主に東部戦線に投入され、敵軍であるソビエトはこの銃の威力に脅威の念と興味を持った。ソビエトは戦後、このMP43という銃、そして突撃銃というジャンルを重要視し、戦後すぐにAK47*2という傑作銃の開発に成功した。
しかし、アメリカはこのMP43を重要視せず*3、単なる威力のすこし強いサブマシンガンとしてしか見ていなかった。もっとも、第二次大戦中アメリカ軍は当時で唯一セミオートのライフル、M1ガーランドを実戦投入しており、このセミオートの性能がボルトアクションライフルに対して大きく水を開けていたという事実があった。そのため、ソビエトは1947年にAK47を制式採用したにもかかわらず、アメリカはフルオート版M1ガーランドとも言えるM14ライフルを、1957年に制式採用としている。実に10年もの差がついていた。
1965年、アメリカがベトナム戦争に介入、北爆が開始される。同時に陸上戦力も投入され、アサルトライフルを見れば、M14とAK47との戦いになった。しかし、ここでまたもアメリカは「結果的に」失態を犯してしまう。
M14は7.62mm×51*4という弾を使用するが、この弾をフルオートで連射すると、その反動により、銃そのもののコントロールが難しいという欠点が露呈した。一方、AK47は7.62mm×39という比較的威力の弱い弾を使用するため、M14よりはコントロールがしやすい。訓練を受けた頑強な兵士ならいざ知らず、当時のアメリカは徴兵制で、ひ弱な若者も多く戦場へ送り込まれた。そんな彼等にも扱えるようにと開発されたのが、M16である。
AKは口径はそのままに、薬莢の短い弾を使用することで反動を抑えていたが、M16は口径そのものを小さくするというアプローチを採った。結果、5.56mm×45*5という弾を採用することに決定。小口径化は射程距離を縮めることにもなるが、ベトナムの密林ではせいぜい視界が20〜30m程なので問題はなかった。また、小口径化により、一度に装備できる弾の数が増えることも大きなメリットだった。同時に、銃本体にプラスチックを多用することで、ライフルそのものの軽量化も図ってある(余談ながら、銃は鉄と木で作られるのが当たり前だった時代にプラスチックを導入した近未来的なその設計は、前線で『メンテナンスフリーだ!』と喜ばれメンテナンスをせずに戦闘に持ち込む兵士も出たと言う。)*6。実戦投入当初は湿気や砂等のトラブルが多く、使用する兵士からはなかなか信頼を得られなかったが、バトルプルーフ*7されていくうちに、その軽量さと同時携行弾数の増加が兵士達の支持を集めた。そしてM16は今でもアメリカ軍の制式ライフルである*8
先程「結果的に」と書いたM14であるが、このベトナム戦争での失敗から、M14を「駄作」と評価する銃器関連書籍も多い。しかし、当時のアメリカは、ワルシャワ・パクト軍*9とユーロ平原で対峙した時のことを想定していた。平原のようなだだっぴろい所では、400m前後の射程が必要であり、それを実現するには7.62mm×51が外せないラインだった。この頃に製造されたヨーロッパ各国のアサルトライフルはこの弾薬を採用している。

(西)ドイツ
G3(H&K社製)
ベルギー
FALFN社製)

の2つが有名。イギリス軍はFALをL1A1の名前で採用したが、FALに搭載されていたフルオート機能は、M14と同じく反動が強く実用的でないとして、フルオート機能を取り外している。機能的にはM1ガーランドと同じようなものだが、先見の明があったと言えるだろう。また、ヨーロッパではないが、日本の自衛隊は初の制式アサルトライフルとして64式小銃に7.62mm×51を採用したが、その反動の強さはアジア人の体格にはさらに厳しいものであったため、火薬の量を2割減らした弱装弾を採用している。
また、ベトナム戦争最中でも、一部の兵士はM14を使い続けた。M16の5.56mm弾は、草をかすっただけでも弾道が反れる。一発一発の弾の威力が弱いなどという点から、M16配備後もM14を好んで使う古参兵士も多かった。
しかし、このベトナム戦争で成功したM16によって、西側諸国のアサルトライフルは小口径の道へと進むことになる。*101977年にフランスがFA-MASを、オーストリアがAUG、遅れてイギリスが1985年にL85A1*11を採用した。もちろんすべて5.56mm×45を採用しているが、この3者すべてブルパップ式であるという点が興味深い*12。軍制式にはならなかったが、ベルギーのFN社もFALを5.56mm化したFNCというライフルを商品化している。日本も64式の後継として89式小銃に5.56mmを採用した。ドイツだけはG3ライフルをそのまま使い続けていたが、それは東西統一などの社会背景があったためで、1996年にようやく5.56mmのG36を制式採用した。
一方、7.62mm×39を使用するAK47はその後改良型のAKMを経て、AK74というモデルに世代交代する。AK47とAKMは基本的な性能は同じだが、AK74は5.45mm×39弾を採用している。これはもちろん、アメリカのM16に影響を受けたもので、冷戦終結後は西側標準である5.56mm×45が使えるタイプのものもあるという。

細かい話

MP43に端を発したアサルトライフルだが、M16の登場を境に、大きくその歴史が塗り替わっている。そのため、M16以前の主流である7.62mm×51弾を使用するフルオートの出来るライフルをバトルライフル、5.56mm×45弾を使用するフルオートライフルをアサルトライフルと呼ぶ向きもあるようだが、あまり一般的ではない。
近年ピカティニー規格20mmマウントレールの普及により様々なものがアドオン式で追加されるようになった。(例、グレネードランチャー・ショットガン・拳銃など)
余談だがフィクションの世界ではチェーンソーが装備されていたりする

*1:後にほぼ同一のモデルがMP44、StG44と続く。StGはスチュームゲベアーと読み、その意味はそのまま突撃銃である。

*2:カラシニコフ、と呼ばれることも多い

*3:西部戦線に投入されず、MP43の洗礼を受けなかったから、とも考えられる。

*4:別名、.308ウィンチェスター、7.62mmNATO弾とも。

*5:別名.223

*6:尚、本銃はリュングマン方式によく似た作動方式をとっており、銃弾の発射によって出たガスをボルトキャリアに吹き付ける設計となっている。これはピストンが不要になるため軽量化には役に立つが作動機構に火薬のカスなどがこびりつきやすくなり結果として当時採用されていた銃の中ではメンテナンスの必要性は高かった。前述のメンテナンスを怠ったりベトナムの砂や湿気によって作動不良が多く、M16を捨ててAKを拾って戦った兵士もいたといわれている

*7:実戦で使用して欠点を洗い出し、逐次修正していくこと。

*8:M16A3とかM4とか細かなバージョンアップは重ねられているけど

*9:つまり共産圏の国々の軍隊

*10:もちろん、アメリカと装備の共通化を図ったほうが効率よいから。この時点で使用する弾丸は5.56mm×45のSS-109というものに決まったが、アメリカのM16、M16A1は5.56mm×45のM193を使用していたため、新たにSS-109用のM16A2を開発している。

*11:SA90とも呼ばれる

*12:この3者をして、世界三大ブルパップと言うらしい、、、

このタグの解説についてこの解説文は、すでに終了したサービス「はてなキーワード」内で有志のユーザーが作成・編集した内容に基づいています。その正確性や網羅性をはてなが保証するものではありません。問題のある記述を発見した場合には、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

関連ブログ