2月18日 小さな神社は人でごったがえしていて、梅のにおいと人のにおいと醤油の焦げたこうばしいにおいがごっちゃになっていた。都会にある神社だからビルに囲まれていて、太陽の光で真っ白に光る巨大なマンションを背景にすると、梅の枝ぶりが写真にきれいに写った。何人かのおじさんが30センチ以上もある大きなレンズがついたカメラを同じ方向に向けているのはメジロがいたからだった。梅の小さな花にすっとくちばしを差し込んでは次の花に跳ねていくメジロを望遠レンズで見ているおじさんたちはすぐにメジロを見失ってカメラから顔を離した。肉眼でメジロを追うおじさんの手がカメラの重みでぷるぷるとふるえた。大きな声で話しながら歩…