Seinfeld (1990-1998)
ニューヨークのスタンダップ・コメディアン、ジェリー・サインフェルドと友人たちの、とんでもない日常を描いたTVコメディ。
1990年から9年間、アメリカで放送され、テレビ史上、前例がないほどの人気番組となり、あの天下無敵のドラマ、『ER/緊急救命室』を抜いて、番組終了時まで全米視聴率No.1街道を突っ走ったというオバケ番組。
『となりのサインフェルド』が放送されていた米NBC木曜日のプライム・タイムの時間帯は絶対にみのがせないテレビということで“Must-See TV”と呼ばれ、視聴率でも他局を寄付けない強さを築いた。 また批評家からの評価も高く、エミー賞、ゴールデングローブ賞など数々の賞を受賞した。
なお、日本でのTV放映はWOWOW、LaLa TVで第4、5シーズンのみ。
この時の日本語吹替えは絶品のキャスティングだったが、現在発売中のDVD版では、吹替えキャストが総入れ替えされ、改悪されている。そのため、DVDでの吹替え版での視聴はお奨めできない。
実際は、この登場人物たちのモチーフは、製作総指揮・脚本担当のラリー・デイヴィッドの生活を元にしている。ジョージはラリー・デイヴィッド自身がモデル。クレーマーは実際のラリー・デイヴィッドの隣人(実名もクレーマー)。エレインもラリー・デイヴィッドの元彼女の友人がモデル。
サインフェルドは、ほぼ、自分自身を演じている。
ドラマの中でサインフェルドとジョージがNBCの重役たちにこの番組を提案するシーンがあるが、その際にジョージが説明するのは「何も起きないドラマです」である。ラリー・デイヴィッドが実際に番組を提案した際も、そう説明をした。
つまり、通常のコメディ番組のように、物事がスムースに進むワケではなく、
「人生の大部分は、辛くて無意味で退屈な時間である」
「人生は、計画どおりには絶対進まない。くだらない妨害や試練により、計画は必ず狂う」
「人生は、判断困難な選択の絶え間ない連続であり、それを選択し続けることに人間の神経は耐えられない。そして、選択を誤ることがあまりに多い」
といった、「リアルな真実」が表現されている。
そのため、登場人物たちが、「1つの場所にずっといて」、選択に迷い続け、くだらない試練を与えられ、議論やケンカをしながら右往左往しているだけで1回のドラマが終了、という従来のコメディでは考えられなかったエピソードも多い。
そして、いつも無職で他人にたかってばかりで、調子のいいクレーマーや、若禿げの無能男で気が短く、それでいて見栄っ張りなジョージを見ていると、ダメ人間でも生きていけるんだ、という無根拠な希望も沸いてくる。