同心の鶴見源之丞が遊びに来た。数馬が飼っている金魚が気に入ったらしく、エサを与えていいか、聞く。きょうはまだ与えていないので、「いいですよ」と答え、鶴見にエサを渡す。エサを与えると、金魚やタナゴ、クチボソが寄ってくる。テナガエビだけ、面白くなさそうに水底にいる。それらを鶴見は飽きないのか、ずっと眺めている。 「そうそう、北添さん、お願いがありまして」「え? 何でしょう」「奉行所の道場で、居合をやってもらえませんか? ほら、先日見せてもらった「暇乞」でしたっけ、お辞儀をしたところを斬るやつを是非!」「なぜ、暇乞?」「奉行所の同心連中、みんなお辞儀に騙されるから! それを見てみたいんだよなあ!」「…