米澤穂信の小説。 2004年2月,東京創元社より刊行。
一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。
読書『さよなら妖精』(米澤穂信)*1 *1:2004年2月/東京創元社
珍しく(と言ってはいかん気がするのだが、珍しく)小説をたくさん読んだ。 ◎ニー・ヴォ『塩と運命の皇后』 中華FTっぽい世界観の中編が2本入っていて、どちらも「正しく語られ/記録されなかった女性の物語を語りおろす」という構造を取っている。人名やそれぞれの国は「中国っぽい」「モンゴル~ロシアっぽい」等とソースがはっきりしている分、主人公たちの寺院が明白にそのまま英語っていうのが結構いい。多数言語がそれ自体もつ暴力性とか英語話者が語る「歴史」とはみたいなことへの目くばせなのかな。へーって思った。 ◎アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』 ニー・ヴォが影響を受けた作家として解説に挙げられていたので読…
ベルーフシリーズの第二作 2015年刊行作品。青土社の芸術総合誌「ユリイカ」、東京創元社のミステリ誌「ミステリーズ!」等に収録されていたいた短編をまとめたもの。 2016年「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第2位、2017年「ミステリが読みたい!」で国内編第1位、「このミステリーがすごい!」国内編では第3位と、ミステリ系各章で高い評価を受けた作品である。また、2016年、第155回直木賞の候補作でもあった。 真実の10メートル手前 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon 創元推理文庫版は2018年に登場している。文庫版では単行本になかった解説が収録されており、宇田川拓也が執筆を担当…
1. 「交通」のメタファー 2. 繰り返しショット 3. 明かりを灯すということ——赤/緑 おわりに——「橋」渡しをするとはどういうことか (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 1. 「交通」のメタファー 橋を架けるということが、心が「通う」ことのメタファーであるというのは、たとえばフランス語の« communication » が ——むろん「コミュニケーション」の謂いである——、その昔「交通」と訳されていたことからも伺える。 そうでなくとも、賢明なアニメーション視聴者ならば、数ある鑑賞体験のなかで、一度くらいはそのような場面に…
2024/2/15 ・早朝に起きて、長浜にある海洋堂フィギュアミュージアムに行くつもりだった。亀岡まで出てから9号線で京都を突っ切り、鯖街道をかすめて琵琶湖大橋渡って湖畔を北上し、路面凍結チキンレースを目論む。 ・帰りは多賀SAのSTRICT-Gでガンダムアパレルを冷やかし、インスタで見た京都のデカ盛り醤油ラーメン食って、なんなら銭湯でも引っかけて帰ろうと思ってたのに。起きたら11時ですべてを諦めた。7時と8時とアラーム何個もかけたのに4度寝くらいしてしまった。つらい。 ・昨日凍結してない道探して結構プラン練ったんだけどな。晩飯食ってすぐ寝る夜寝した結果どうにも寝つけず朝4時までリール見てたら…
ミステリランキング三冠に輝いた話題作 2015年刊行作品。この年の「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」「このミステリーがすごい!」すべての国内部門で第一位を獲得する三冠を達成。米澤穂信(よねざわほのぶ)の代表作のひとつとなっている。 王とサーカス 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon 創元推理文庫版は2018年に刊行されている。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★★(最大★5つ) ミステリーランキングでトップに輝いた人気作品を読んでみたい方。ネパール王国の首都、カトマンズで繰り広げられる異国情緒に満ちたミステリ作品を読みたい方。米澤穂信の『さよなら妖…
『春期限定いちごタルト事件』(2004) 春期限定いちごタルト事件 小市民シリーズ (創元推理文庫) 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon 2024/1/27~28(2日間) ※真相のネタバレ普通にあるので注意 1/27(土) ・プロローグ・羊の着ぐるみ 高校時代がはるか遠くのものになったのだなぁという感慨。発狂しそう。小鳩くんの飄々としてますよ感に胸を掻きむしりたくなるし、小佐内さんとの関係はなんだこれ!?!? 甘ったる過ぎる!!!! うおおおおおお 好きとか嫌いとかでなくて、ひたすら "発狂" するしかねぇ お互いを盾や言い訳に使って小市民たることを目指す、とかごちゃごちゃ言ってるけ…
『繭の夏』1995年刊行 繭の夏 (創元推理文庫) 作者:佐々木 俊介 東京創元社 Amazon 2024/1/24~26(3日間) 読むきっかけ ↑これで◎が付いていたので。(他にも何冊か注文したなかでもいちばん早く届いたので) ※ ふつうに真犯人とかのネタバレ書いてるのでご注意ください 1/24(水) p.9~47読み始めた。二章まで。まだ物語はほとんど始まっていない。 文体が『密閉教室』よりも普通に気取っていて読みにくい。無駄な情景描写とかに労力を使いたくない(情景描写一般が無駄だと思っているわけではなく、海外文学とかで素晴らしいものを読んできているからこそ、どうせそのレベルではないから…
BS1で『椿三十郎』。映画を知る前に『That's!イズミコ』を読んでチンプンカンプンだった思い出。 ふの付く某所より、米澤穂信に寄せて。「>逆にもう大刀洗さんの話もアニメ化しない?さよなら妖精はあの世界で唯一人徹頭徹尾大刀洗をクールな女だと思ってる守屋視点の小説じゃないとだいぶ空気が変わっちゃうからなあ」なるほど、太刀洗万智シリーズというのか。『さよなら妖精』だけは既読。他に2冊あるらしい。 k女史は相変わらず産みの苦しみでお悩みの様子。公開中の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』をインプットして、アウトプットをぶちかましていただきたい。そごう横浜店6階にあるそごう美術館では、今月20日から「水木…
成人の日です(きのうが)。このタイミングで買い物に出かけていて、午後になると成人式帰りの人々がちらほら見える。スタバにたむろするスーツ・振袖(だっけ)の男女集団を見て、自分のときのことを思い出した。それは(ry 王とサーカス 太刀洗万智シリーズ (創元推理文庫)作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 逆に聞くが「おもしろいミステリ」って何? 経由で購入。この作者はいくつか読んだ中で『さよなら妖精』に連なるものらしい。さよなら妖精はそんなに好きではなかった覚えがあるけど、これはけっこうよかったな。登場人物の数が大変小さい。そういう意味ではミステリとしてはスケールが小さい。読みやすいっていういい意…
元日の地震からなんとなく調子が悪く、先送りにしていた仕事をやりたくないのも相まって(笑)テンション落ちていたのですが、なんとなく本に救われました。 まずは福田節郎の『銭湯』。 雑誌の書評欄か何かで見かけて予約したものです。内容はあまり気にしておらず、ページを開く前は「これってドキュメンタリーだったっけ?」とか思っていたくらいでした。それがとても面白い小説で、一気読みしました。表題作以外にもう1編入っていたのですが、『銭湯』の余韻を消すのが嫌で読まずに終了したほどに。 主人公は36歳とそこまで若いわけではないですが、酒をガンガン飲みながらどこまでも流されていく感じが「若いなぁ」って思いました。登…
「青春去りし後の人間」を描いた一作 2009年刊行作品。集英社の文芸誌『小説すばる』の2008年6月号~12月号にかけて連載されていた作品を、加筆修正の上で単行本化したもの。 追想五断章 作者:米澤 穂信 集英社 Amazon 集英社文庫版は2012年に登場している。解説は葉山響(はやまひびき)。 単行本版とはカバーデザインが全く変わってしまっており、単行本派としては少々残念である。 単行本版の帯には「米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編」とある。少年少女が主人公ではない点で「青春去りし後の人間」を描いたことには異論がない。しかし2005年作品の『犬はどこだ』では25歳の人物が…
米澤穂信が描く生き残りゲーム 2007年刊行。書き下ろし作品。学生モノが多いこの作家にしては(当時)珍しい一般?ミステリ作品だった。こういうタイプの本格作品も書けるのねと、刊行当時は少し意外に思った記憶がある。 単行本版のカバーイラストは西島大介が担当。 インシテミル 作者:米澤 穂信 文藝春秋 Amazon 文春文庫版は2010年に刊行されている。カバーイラストは単行本版とはすっかりテイストが変わってしまった。 おススメ度、こんな方におススメ! おすすめ度:★★★(最大★5つ) ちょっと(かなり)捻った本格ミステリ系作品を読んでみたい方。クローズドサークルでの頭脳戦に興味のある方。米澤穂信作…
可燃物作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon Kindle版もあります。可燃物 (文春e-book)作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon 2023年ミステリーランキング3冠達成! (「このミステリーがすごい!」第1位、「ミステリが読みたい!」第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位)余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体…
米澤穂信氏の可燃物を読んだ。本書は群馬県警の捜査一課葛警部が主人公の連作短編ミステリーだ。収録作は「崖の下」、「ねむけ」、「命の恩」、「可燃物」、「本物か」の5編。葛が部下の集めてきた情報をもとに事件を組み立てるのだが、何か引っかかりを覚える。その点を精査していくと思わぬものが見えてくるという構成になっているのが本作の特徴だ。「崖の下」はバックカントリースキーで遭難した2人の男が、一人は死亡、もう一人は重体で発見される。状況からは生き残った方がもう一人を殺したようだが、凶器が見つからない。「ねむけ」は強盗傷害致傷事件の重要参考人が交通事故を起こした。目撃者4人が重要参考人が赤信号で交差点に進入…
体調崩したり、マラソン大会あったりと読書の意欲が落ちてしまいました。 11月の読書メーター読んだ本の数:22読んだページ数:7012ナイス数:611小説 ブルーピリオド あの日の僕ら (KCデラックス)の感想本編の裏側を見れて、ブルーピリオドが好きな人、キャラが好きな人は読んで欲しい。どのエピソードも良かったけど、個人的に橋田の話は読めて良かった。読了日:11月30日 著者:行成 薫マスカレード・コンフィデンス 詐欺師は少女と仮面仕掛けの旅をする (MF文庫J)の感想最優秀賞作品にふさわしい大作でした!嘘つき主人公と特殊能力持ちの少女が出会うことで動き出す物語は激しい出し抜き合いの連続で最後ま…