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『マージナル』

(マンガ)
まーじなる

漫画 コミック
関連語:リスト::漫画作品タイトル
萩尾望都の長編SFマンガ。
不毛な乾き切った大地、汚染し尽くされた海、滅び去った生態系、その過酷な環境の中で生にすがりつく人間たち、それが「マージナル」と呼ばれる世界。しかし、さらに奇妙なことはこの世界の人間は全て「男性」であること。「女性」は存在せず、全ての子供は「マザ」と呼ばれる唯一の出産可能な人間から産まれるのだ。ゆえに、「マザ」は神聖視され、子供を授かることを望む多くの者がその下に集うのであった。
だが、一応の安定を得ているかに見える「マージナル」に異変が起こりつつあった。「マザ」が老化し、生まれる子は減少し、多くの村々がいつまでも新たな成員を得ることができず、平均寿命の短いこの世界で、徐々に滅びの予兆が現れ始めたのだ。
そして、それを予見した反乱者が「マザ」の暗殺を画策していた。裏でこの世界を操っている高度な科学技術を持った組織「センター」が「マージナル」の破滅を推し進めていると気付いたからだ。その実行部隊の一員、グリンジャはある日砂漠で不思議な少年と出会う。名前は「キラ」。ひょんなことから彼らに関わることになった「死に損ないのアシジン」も巻き込まれ、事態は急速に展開していく…。(彼らの三角関係にも注目)

コメント

まず、このユニークな世界観、(萩尾望都でなくては構築できない精緻でなおかつダイナミックな)に引っ張り込まれる。アラブ風の風俗の登場人物たち、独特の家族制度、センターが操る、高度な機械「マキーナ」。様々な濃いSF要素を、無駄なく、精密に盛り込み、(宇宙の出てこないワイドスクリーンバロック調とでも言えばいいのか)その上で、人間ドラマが成立している、ものすごい作品。多方面からの分析が望まれる。
しかも萩尾望都の裏メッセージ。「女性」は自分の社会的人格を一時棚上げにして、「母性」に従事、献身しなければならない。それがどれだけ尊いことか、日頃社会で偉ぶっている「男性」どもは思い知りなさい、むしろ「女性」は「女性」だけで生きていけるんだから、「男性」なんて居なくても良いくらい、という啖呵にさえ受け取れる。

初出誌

プチフラワー1985年8月号〜1987年10月号に連載

ラジオドラマ

NHK−FMサラウンドドラマ マージナル
そのCDが小学館より発売(1989年)
脚色 岡本蛍
音楽 細野晴臣,福沢諸
声優 グリンジャ…石田純一 など
小学館CDブックスペシャル
定価 5800円 (入手不能)

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