ジャンル問わず小説を書いている人のブロググループです
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「アダルトビデオでさ、下半身だけ見えないようにして上半身は接客とかするやつあるじゃん?」 夜も更けてきたとはいえ公衆の面前で、友人は無邪気にもそんな話を切り出す。カウンターの下に男優が隠れてるやつね、ふむ。 「で、女優さんが悶えながらも応対してるのに、客は気付いてない。大丈夫?とか気分悪いの?とかもない。どうかと思うよ、俺は。」 そもそもその客も役で、気づかないふりをしているだけだと思うが。 「な…
彼さんのインフルエンザをもらい、見事にダウンして、同じ痛みを分かち合っていました。病める時も健やかなる時もと言うけれど、同時に病んでしまうと家のことがままならない。彼さんは今週から出勤しはじめ、私もようやく昨日から出勤しだしたけれど、家がぐちゃぐちゃのままなのでどうにかしたいと思いつつ、気管支炎を併発しているので帰ってくる頃にはぐったりしてしまっていて、ぜんぜん片付ける気力がわかなくて困っている。…
人と話すことが大好きだった。どんなに他愛のないことでも、話をしているだけで楽しかった。 「それで坂本さんがね――」 クラスの友達の美沙と、いつもどおりの会話。少し前から不便になったけど、私も美沙も、もう慣れていた。 話の区切りがついたところで、美沙が少しと言うには長すぎるほどの間を開けてくれる。私はあまり美沙を待たせないように言葉を紡ぐ。綴る、と言った方が正しいけど。 『坂本さんらしいね』 クロッ…
夏の日差しがぐさりぐさりと私に降り注ぐ。昨晩雨が降ったからか、まだ少し湿気を含んだ空気が余計に息苦しく感じる。部活に向かう足取りはやっぱり重くて、今朝の事を思い出すと胸の内に広がる黒くずっしりした何かが拭えなくてすごく不快だ。「そんな部活ならやめなさい。」父親が放った一言だった。どうもうちの部活は連絡が遅くて、部費を集める連絡が来るのが1週間前、合宿の日程が決まるのが2週間前、そんな調子だった。夏…
【はじめての方へ】 「じもと探訪部」とはお金をかけずに地元をなんとなく旅しようという企画です。 明確な指針はありません。まったりのんびり継続していく予定です。 興味を持っていただける方は、ぜひお付き合いください。 【以上】 どうも、帆村です。 皆さん、お元気ですか? 町子「こんにちはー。部員の町子ですー」 さて、いよいよ「じもと探訪部」の活動をはじめていきたいのですが、 まずはどの地域を巡るか、で…
「ねぇ、ちょっといい?」ハッとして、振り返るとこの前屋上でショウ君と一緒にいた女の子がいた。確か名前は…「あき…」思わず呼び捨てで呼ぶと、睨まれた。「…さん付けくらいしたら?」「へっ!?…あ、あきさん…だよね?」「そうだけど、星野サクラ」フ、フルネーム…。そう驚いていると、あきさんは私を睨んだまま、「ねぇ あんた、ショウの事、好きなの?」そう聞いてきた。「え…?好きなわけじゃ…ない」「だったら、早…
「みんなで花火しませんか?」時刻は夜の11時。まだまだ明るい我がオフィスでは、僕を含めて4人のスタッフが残業している。自慢じゃないがいつもの風景だ。その中でも今年入社した新卒の瑞穂ちゃんが、突然声をあげた。「だって毎日毎日遅くまで残って働いて!今年夏らしいこと一個もやってません!本城さん、ここの屋上って入れますよね!?」僕に話題をふらないでほしかった。でも弱気で内気な僕は控えめに答えてしまう。「ま…
「橋本ぉ。さっさと帰るぞー。」 「あ、ごめん石田。国語の宿題、教室に忘れてきたっ。取ってくるから、先に歩いてて。」 「わかった。早く来いよ。」 「ありがとう。」 頭をポリポリと掻きながら急かす石田に自然と礼をこぼし、橋本は小走りで校舎へと歩き出した。 「橋本。」 校舎へ入る昇降口を登ると、横にある自販機に寄りかかっていた松井に声をかけられた。 「えっと、何かな?」 「いや、校舎に何か用かなって・・…
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